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かかりつけ薬剤師のメリットは?かかりつけ薬剤師になるべきかどうか悩んだら…

かかりつけ薬剤師になるメリットは?

2016年4月の診療報酬改定で、「かかりつけ薬剤師指導料」の算定項目が追加され、かかりつけ薬剤師制度が始まりました。

 

高齢化が進む日本社会の中で、なんでも相談できる地域の健康サポート役となる薬剤師を作ろうという「かかりつけ薬剤師」制度です。

 

新しい制度では薬剤師や薬局側の業務負担や患者さんの費用負担の増加、また薬局側の経営にも多大な影響を与える可能性のある制度です。

 

 

かかりつけ薬剤師指導管理料

 

かかりつけ薬剤師は、患者さん自身が信頼できる薬剤師をひとりだけ「かかりつけ薬剤師」として指名することができます。

 

患者さんがかかりつけ薬剤師とすることに同意すれば、同意書に署名を作成し保管しておく必要があります。そうすることで、患者さんは、かかりつけ薬剤師に服用薬について一元的・継続的な管理をお願いし、お薬や健康についてのアドバイスを受けることができます。

 

かかりつけ薬剤師が患者さんに行う内容については、次の項目です。

@患者さんの服薬の管理や服薬指導を一元化して行う
A患者さんが受診している保健医療機関や服薬履歴を把握する。一般用医薬品や健康食品についても把握が必要しアドバイスを行う。
B患者さんからの相談には24時間応じられる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝えておく。
C患者さんの服薬状況を把握、指導を行い、処方医にその内容を情報提供する。必要に応じて処方提案を行う。
D患者さんの服用薬の整理や管理、必要に応じて患者さんを訪問して服用薬の整理を行う。

 

患者さんの服用薬の管理

これまでも患者さんの服薬の管理に対する算定項目として、「薬剤服用歴管理指導料」というのがありましたので、仕事内容は変わりません。

 

しかし、2016年4月の診療報酬改定で、「薬剤服用歴管理指導料」の点数が変わったため、4月以降は同じ薬局で同じお薬をもらったとしても患者さんが支払う金額が変わる可能性があります。

 

これまではお薬手帳ありの場合は41点、お薬手帳なしの場合は34点でした。2016年4月以上は、6ヶ月以内に来局した薬局にお薬手帳を持参した場合は38点、それ以外の患者さんやお薬手帳を持っていない患者さんは50点となります。

 

そのため、お薬手帳を作り、毎回同じ薬局に行くと最も負担額が少なくなるというメリットができます。色々な医療機関にかかっている場合でも決まった薬局に行くのがお得になるということです。

 

患者さんが受診しているすべての保険医療機関を把握する

患者さんに「かかりつけ薬剤師」として指名された場合は、お薬手帳にあなたの名前や勤務先を明記し、「かかりつけ薬剤師」がいることを明示します。

 

複数の薬剤師を選ぶことはできませんので、他の店舗でもらったお薬をもらった際にも、かかりつけ薬剤師が把握しておかなければいけません。かかりつけ薬剤師を途中で変更することは可能です。

 

患者さんが保険医療機関から処方されている薬はもちろんのこと、服用しているOTC医薬品やサプリメント等についてもヒアリングを行い把握しておくことが必要です。

 

24時間対応できる連絡先を渡す

かかりつけ薬剤師は、自分の勤務表を患者さんに渡して、いつでも連絡がとれる連絡先を患者さんに渡す必要があります。

 

開局時間外の対応は、「かかりつけ薬剤師」以外の薬剤師による対応が認められていますので、当番制で対応している薬局が多いようです。

 

患者さんの服薬状況を把握し医師に情報提供

これまでは、薬剤師は処方箋に基づいたお薬を調剤して、患者さんに服薬指導することが仕事でした。しかし、「かかりつけ薬剤師」は、患者さんの服薬状況についても管理していく必要があります。

 

患者さんの中には、処方されたお薬が飲みにくい、副作用が心配、お薬を飲んでから体調が悪いなどがあっても医師に言えずにいる人もいます。「かかりつけ薬剤師」は毎回、患者さんの服薬状況を確認し、必要があれば、処方された医師に情報提供し処方内容の相談を行います。

 

必要に応じて患者さんの自宅を訪問

高齢者の患者さんは、長期にわたりたくさんのお薬を処方されています。ついつい飲み忘れたり、いつもらったかわからない薬が大量に残っていることもあります。

 

患者さんの服用状況のヒアリングを通じて、必要があれば患者さんの自宅を訪問しお薬の整理を行います。飲み忘れの残薬の管理やお薬カレンダーを使ったお薬の管理、服用方法に合わせた一包化の提案など在宅業務を兼ねたようなお仕事です。

 

 

かかりつけ薬剤師は誰でもなれるわけではない

 

「かかりつけ薬剤師」は、薬剤師であれば誰でも慣れるわけではなく、要件をクリアし、厚生労働省の支局である「地方厚生局」に届け出る必要があります。

 

かかりつけ薬剤師になるための条件は次の3つです。

 

  • 薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、その薬局に週32時間以上勤務しているとともに、その薬局に半年以上在籍している
  • 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得している
  • 医療に係る地域活動の取組に参画していること。(地域の行政機関や関係団体等が主催する講演会、研修会等への参加、講演等の実績)

 

 

それぞれについて、少し見ていきます。

 

3年以上の勤務経験、週32時間ん以上勤務、半年以上の在籍

「かかりつけ薬剤師」は、患者さんの服用薬情報を把握するため、勤務としての経験が必要です。やはり、1年目でまだまだ経験の浅い薬剤師さんに「かかりつけ薬剤師」になってもらいたいとは、患者さんも思わないのは当然のことです。

 

また、同じ薬局で週32時間以上の勤務時間が必要です。「かかりつけ薬剤師」は、患者さんにとって、いつでも相談でき頼れる薬剤師であるため、いつ行っても薬剤師が不在で対応してもらえない…ということでは困るのです。1日8時間勤務の場合、週4日以上出勤していれば条件を満たす事ができます。

 

3つ目としては、勤務している薬局での半年以上の在籍期間が必要です。「かかりつけ薬剤師」は、地域の住民の健康サポートをする役割がありますので、患者さんと信頼関係を築くためにも半年以上は同じ店舗で働いている必要があります。

 

認定薬剤師の資格取得

医薬品は医療現場は、新しい情報がアップデートされるため、常に勉強し自己研鑽を行う必要があります。研修によってスキルアップをしていることを客観的に示せるものが、「認定薬剤師制度」です。

 

今回のかかりつけ薬剤師になるための条件である「認定薬剤師制度」は、「薬剤師認定制度認定機構」が認めている「研修認定薬剤師」です。

 

 

「研修認定薬剤師」になるための流れ
・研修機関を決めて手帳を入手する
  ↓
・研修を受けて単位を取得する 新規:4年以内に40単位以上(最低各年5単位取得する)
  ↓
・研修認定薬剤師の申請
  ↓
・「研修認定薬剤師証」が届く
  ↓
・更新(3年ごとに30単位以上)

 

もっとも多くの薬剤師が利用している研修機関としては、「日本研修センター」です。

 

研修は、講義やe-ラーニングなど様々なものがあり、費用も無料で受けられたり、有料の場合も参加費もそれぞれ異なりますので、自分に合った研修を探してみるのがおすすめです。

 

研修に必要な費用を薬局が負担してくれることもあるので、勤務先で確認しておくようにしましょう!

 

地域活動に参加

「かかりつけ薬剤師」は、地域住民とのつながりを作っておく必要があるとの考えから、地域活動への参加が必要とされています。

 

例えば、健康相談イベントで地域住民の健康やお薬に関する相談にのったり、学校で医薬品の講演を行うなどです。

 

これらは、自分一人でいきなりできることではありませんので、勤務先の薬局を通して地域の自治体と連携を行っていく必要があります。

 

 

かかりつけ薬剤師になるメリットは?

これまでも認定薬剤師や地域活動に参加していた薬剤師にとっては、「かかりつけ薬剤師」になることは大きなハードルではありません。

 

また、患者さんの服薬管理いついても、これまでとそれほど変わらないという薬剤師さんもいると思います。

 

しかし、そうでない薬剤師にとっては、「かかりつけ薬剤師」になるためのステップもありますし、仕事の負担が増えるという人も多いのではないでしょうか。

 

そのような場合、「かかりつけ薬剤師」になることのメリットはあるのでしょうか?

 

 

「かかりつけ薬剤師」がいるかどうかは、勤務先である薬局にとっては、大問題なのです。なぜなら、かかりつけ薬剤師がいないと、2017年4月以降は調剤基本料が半分になり、経営的に大きなダメージとなってしまいます。

 

そのため、薬局の経営者にとっては、「かかりつけ薬剤師」の必要性はとても高く、「かかりつけ薬剤師」になることで年収がアップしたり、手当てがもらえる会社もあるようです。

 

もちろん認定薬剤師を取得することで、薬剤師としてのスキルアップにもつながりますし、薬剤師として成長できます。これからは、薬剤師免許だけでは通用しない時代がやってくるかもしれません。どのような時代でも対応できる薬剤師であるためにも、「かかりつけ薬剤師」は大きなステップとなるはずです。

 

今後も「かかりつけ薬剤師」は、ますますニーズが高まることが考えられますので、転職にも有利になることは間違いありません。

 

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