精神科病院や門前薬局の薬剤師の仕事内容や必要なスキル
どの診療科であっても薬剤師として調剤や服薬指導を行うという部分は代わりないものの、診療科によって必要な知識や患者さんの対応で気をつけなければいけないことがたくさんあります。
薬剤師の職場として、精神科専門病院や精神科や心療内科のクリニックの門前薬局で働くという選択肢があります。
精神科と言うと、その特殊性やある種のイメージから少し敬遠する人もいるようですが、他の職種よりも専門性を問われる職種でもあります。
また、患者さんを思いやり信頼関係を構築することも大切な仕事のひとつです。
薬剤師が働く精神科の職場はどのような特徴があるのか、求められるスキルはどういったものなのかを紹介していきます。
精神科で働く薬剤師の仕事や必要なスキル
精神科で処方される薬は、内科や耳鼻科、皮膚科などで処方されている薬に比べると特集で飲み方を間違えてしまったら命の危険があるものの少なくありません。
精神科に通院している患者さんの多くは、医師の診察やカウンセリングを受けて服用しながら治療を進めていきます。
そのため、薬の調剤や説明はもちろん、前述したとおり、よりよい精神状態で薬を正しく服用してもらうための指導が大切な仕事のひとつになります。
コミュニケーション能力
精神科で働く薬剤師に求められるスキルの一つとしてあげられるのが、コミュニケーション能力です。
精神科に通われている患者さんの場合、より不安を抱えておられたり、自分の考えを強く持っておられ、理解するまでに時間がかかる方も多くいます。
精神状態が不安定になっていて敏感になっている患者さんの場合、ちょっとした言い方で、傷つかれたりクレームに発展することも少なくありません。
言葉遣いひとつにも気をつける必要があります。
患者さんに合わせて、話し方、聞き方を変えて、対応するスキルが求められます。
重症な患者さんになると、意思疎通自体が難しいこともありますが、患者さんに合わせたやり取りで、薬を正しく服用してもらえるように対応しなければいけません。
特に、薬剤を変更した場合などには、疑問を持ったあり、強く反発する方もおられます。
そういった方にわかって頂けるようになるには、信頼関係を築くことが重要ですので、日ごろの会話が重要になります。
安全に薬を服用してもらえるように情報を伝えるスキル
精神科では心身に影響を及ぼす薬の処方が多く、併用している薬の種類も多様なため、より安全に使用できるよう服薬指導が非常に重要です。
患者さんの中には、気分が落ち込んで過剰に薬を摂取してしまうこともあります。精神科の門前薬局での服薬指導の際には、患者さんの話をよく聞き、いつもと異なる態度などを注意深く観察しておきましょう。
いつもより落ち込んでいたり、様子が異なるようであれば、気分を落ち着かせるために話を聞いてあげることも必要です。
薬剤が入っている袋やヒートシールを誤って飲んでしまうこともあるので、そういったことを防ぐ工夫やあらかじめ予測する能力も必要です。
経験が必要なことではありますが、患者さんの様子の違いをいち早く見つけられる柔軟性を身につけていく必要があります。
強い精神力
心や精神があまり強くない人が、うつなどの疾患のある患者さんと長く一緒にいると、精神的に引きずられてしまうことがあります。
これは薬剤師でも同様です。毎日、多くの精神疾患のある患者さんと関わるため、心が弱い人だと自分の精神状態も悪くなってしまうケースも考えられます。
特に患者さんのことを思う人ほど、共感する気持ちが強くなり、共依存からメンタルに支障が出てしまうように思います。
サポートする気持ちはもちろん大切ですが、状況によってはある程度聞き流せるくらいのスタンスも必要なようです。
薬剤師として、患者さんと向き合うためには、薬剤師のあなたが健康な精神状態でいることが大切です。
患者さんをサポートするためには、まずはあなたのこころの健康からです。
精神科専門薬剤師
世界規模で見たとき、日本は精神疾患患者さんが多いことが知られています。症状の程度はさまざまで、軽い人もいれば社会生活を営めないほど重症な方もいます。
ストレスの多い日本社会において、「うつ病」など精神疾患をわずらっている人は少なくなく、これからもより一層必要とされる分野でもあります。
精神科領域での薬物療法の質を上げていく制度として、「精神科薬物療法認定薬剤師」「精神科専門薬剤師」が設定されています。
「精神科薬物療法認定薬剤師」は、精神科の処方と治療内容を理解し、効果や副作用が評価でき、薬物療法が提案できることが求められています。
「精神科専門薬剤師」は、その上の研究を行い、「精神科薬物療法認定薬剤師」の教育をできること、医師や他のスタッフへの助言ができるスキルが必要となります。
精神科薬物療法認定薬剤師の申請資格の主な要件
- 認定薬剤師であること
- 精神科を標榜する病院に5年以上勤務して精神科薬物療法に直接従事している
- 精神疾患患者への薬物管理指導実績が50症例以上
- 認定対象となる講習会を40時間(20単位)以上すること
など
(詳細は、日本病院薬剤師会のホームページを確認ください)
精神科専門薬剤師の申請資格
- 精神科薬物療法認定薬剤師である
- 各精神科領域での学会員
- 学会発表が3回以上(少なくとも1回は発表者)
- 論文が2編以上(うち少なくとも1編は筆頭著者)
など
(詳細は、日本病院薬剤師会のホームページを確認ください)
精神科で処方される薬は他の診療科で用いる薬よりも特殊な物が多く、薬剤師としての専門性を活かした仕事ができるという点で非常にやりがいのある仕事です。
他の診療科ではなかなか出来ない経験が積めるということで、非常に勉強になる職場でもあります。
精神科で働く薬剤師の年収は、他の診療科の場合と大きく変わりませんが、専門性を高めていけば、年収アップを狙った転職も可能です。
精神の病は、今後の日本社会で欠かすことのできない分野であり、注目が高い領域です。
多くのスキルや能力を求められますが、その分やりがいも大きく、薬剤師としてスキルアップしていくことができる職場です。
精神科領域にチャレンジしてみたい人は、まずは精神科病院、精神科の門前薬局での経験を積んでいくことです。
精神科での仕事を探したい人は、ぜひ転職サイトを活用してください!
転職サイトのコンサルタントに相談すれば、転職サイトの中でも好条件の非公開求人を紹介してもらえます。
精神科と言っても職場に寄って仕事内容は、さまざまです。
薬剤師として、よりスキルを磨ける職場を探すために、コンサルタントのアドバイスは必ず役立つはずです。
転職サイト選びに悩む方は、こちらを参考にしてください。
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